MBAの受験のちょっとしたコツの話

僕は今までの人生で受験というものに苦労したことがない。自慢ではないと書くと厭味ったらしいので、ここで宣言しておこう、自慢である。中学受験も大学受験も、模試は何を受けてもずっとA判定で、僕も周りも受かるだろうと思っていた通り、志望校に受かった。MBAの受験も、三か月弱くらいでスコアが出て、あとは仕事の空き時間にせっせとエッセイを書き、結果として第一志望の学校に受かった。かなり楽に受験を終えた方だと思う。最終的なスコアは、GMAT 730でTOEFL 111だったので、当時としてはかなり高得点だったはずだ。因みに、予備校もカウンセラーも僕は使っていない。従って、かかった費用は受験料と参考書代くらいである。

勉強にはコツがある。おそらく中学受験や大学受験を潜り抜けてきた人であれば、無意識のうちに体得しているようなものである。僕はMBA受験を始める時に、これらの経験を棚卸しした上で攻略のための作戦をたてた。詰まるところ、勉強や受験というのは、現在地の把握 -> 弱点の分析 -> 弱点の克服 -> 現在地の把握(以下、延々と続く)、というプロセスを回すことである。予備校に通う最大のメリットは、この弱点の分析及び弱点の克服、という点においてプロの意見を聞けることだと僕は思う。従って、現在通っている予備校が、貴方の弱点分野に効果的な対策を示すことができないのであれば、それはお金をどぶに捨てているのと同じだ。

以下、これから受験を始められる方のために、参考程度に私が立てた作戦をシェアしてみたいと思う。尚、私が受験したのは遠い昔なので、問題の傾向等が変わっているであろうことを踏まえ、テクニック等の詳細には立ち入らない。

0. スコアの目標をたてる
当たり前だが目標なき作戦は当然失敗する。従って目標を立てることが必要である。US MBAトップ校であれば、TOEFL 110点 + GMAT 730点、というのが一つの目標になるだろう。今のトレンドは分からないが、僕が在校生と接点のあったころの経験からすると、スコアが足を引っ張らない最低ラインはTOEFL 105点 + GMAT 700点くらいかなと思う。これを下回ってくると、それを覆せるだけの職務経験や社費という葵の御紋が必要になってくるだろう。

1. なるべくアメリカの参考書やサイトを参考にする(特にGMAT)
日本人のMBA留学生は年々減ってきており、比例するようにMBA受験業界というのも苦しくなっていると思われる。一方で、海外に目を向けると、未だにMBAというのは人気の学位であり、毎年多くの人が受験をし、そして入学する。自分が出版社の人間だったとして、日本でMBA向けの参考書を出すのは、おそらくアメリカやインドといったMBA受験が盛んな国で参考書を出すよりもリスクが高いのではないかと思う。僕の個人的な意見だが、アメリカで出版されているMBA受験用の参考書やコースはかなり質が高いものが多い。模試がついてきて詳細に苦手分野を分析できるものもある。日本からでもAmazonなどで買えるし、このご時世、クラスにもオンラインで参加できると思うので、こういった質の高いリソースを活用することをお勧めする。

2. TOEFLは早い段階で受けるべき
TOEFLはGMATと違って過去に遡ったスコアを提出する必要がない。従って、受験料という観点を無視すると、何回受けてもよいことになる。僕はとりあえず何も勉強せずに一回受けてしまうことをお勧めする。僕は実際にそうした。初回のスコアは103点で(当時の職場で、直近の数件が英語案件だったのがかなりスコアに寄与していただろう。自分でもこのスコアに驚いた記憶がある)、目標にしていた110点を超えるにはSpeakingを鍛える必要があることが分かったので、インターネットで今まで出たとされる問題のパターンを分析し、応用可能なテンプレートのようなものをいくつか作ってひたすら練習した。家の中で延々と同じフレーズを繰り返している様は狂気そのものだったと思うが、おかげさまで一か月後には111点が出て、TOEFLの勉強を終了した。

3. GMATは英語力がついてから始めるべき
GMATは英語でテストを受けるものである。従って、英語力がないとそもそもテストを受ける以前の問題となる。個人的にはTOEFLのReadingが安定して28~30点をとれるようなレベルにないと、そもそもGMATを勉強するための英語力が不足しているように思う。そういった状況で無理やりGMATを始めても効率が悪いだけになってしまうので、まずは素直に単語や文法といった基礎を固めていくべきである。逆に、英語力の基礎があるなら別にTOEFLと同時並行で構わないと思う。実際に、僕はTOEFL一回目のスコアが分かったタイミングで(TOEFLに関してはほぼSpeakingだけやればよさそうだったので)、GMATの勉強も開始することにした。

4. GMATのVの参考書は模試のついているものを選ぶべき
GMATは5回しか受けられず、しかも過去のスコアが学校に行ってしまうので、受験には慎重になるべきだ。しかも、TOEFLと違って、VとQと全体のスコアしかわからないので、Vのどこが悪かったのか、といった分析すらできない。従って、僕のお勧めは、Vに関してはさっさと模試のついた参考書を買って、苦手分野などを入念に分析することである。僕が受験当時使ったのは、Manhattan Prep GMATである。海外のMBA受験生には鉄板と思われるシリーズで、模試がついてきたのがとてもありがたかった。これによって、SC、RC、CRの何が苦手で、どういった対策をとるべきなのかが可視化できるので、その後の勉強の効率が上がった。因みに、僕はCRが得意で、SCが苦手で正答率が上がりにくかったので、SCは頻出パターンだけを抑えてあまり時間を使わず、RCの速度向上を図ることでGMATを攻略した。

5. GMATのQが苦手な場合は長期戦を覚悟すべき(英語が苦手な場合)
僕のような純国産サラリーマン受験者の場合、GMATのQで点が取れるか否か、というのは受験全体のスケジュールをたてる上で大きな影響がある。僕は算数や数学が得意だったので、頻出の単語を一部覚えるだけで基本的にはなんの対策をしなくてもQは51が出た。昔の自分に感謝。となるとVを34か36まで上げればGMAT受験が終了する(因みに僕はGMATを二回受けて、680 -> 730だった)。もしQが苦手で、数学の勉強も必要な場合、これは長期戦を覚悟する必要がある。Vの勉強だけをすればいいのか、それに加えてQもやらねばならないのか、というのは一教科受験と二教科受験の違いに等しい。今までの人生で数学が苦手だった、乃至は、受験で数学を勉強してこなかった場合、一度サンプルテストを受けることをお勧めしたい。全体のスケジュールの引き直しが必要になる可能性がある。

以上、色々と書いたが少しでも受験生の参考になれば幸いである。GMATは確かに運に左右される部分もあるが、きちんとした対策をすれば乗り越えられる壁である。

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